鳥の性はどう決まる?

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鳥の性染色体:ZWとZZ

鳥類の性決定は、性染色体と呼ばれる染色体の組み合わせによって決まります。

オス:ZZ

鳥類のオスは2つのZ染色体を持ちます。

メス:ZW

鳥類のメスはZ染色体とW染色体を1本ずつ持っています。W染色体があることで、メスとしての性が決まります。

一方、ヒト (哺乳類)では、オスはXとYの性染色体 (XY)を持ち、メスはX染色体を2つ (XX)持ちます。つまり、ヒトでは雄ヘテロXY型であるのに対して、鳥類は雌ヘテロZW型です。

性を決める鍵 DMRT1遺伝子

鳥類の性決定に重要な役割を果たす遺伝子が、DMRT1です。この遺伝子はZ染色体上にあり、特にオスの発生において非常に重要です。

オス (ZZ)は2本のZ染色体を持っているので、DMRT1のコピー数が多く、それがオスの性を決定する役割を果たします。一方、メス (ZW)はZ染色体が1本しかないため、DMRT1のコピー数が少なく、これがメスの発生を導く要因になります。DMRT1が不足するとオスの発育に問題が生じ、逆にDMRT1が多ければオスとしての特徴が強く現れることが分かっています。

一方、ヒトでは、Y染色体に存在するSRY遺伝子がオス化のスイッチを入れます。SRY遺伝子があると、胚はオスの特徴を発現させ、精巣を形成します。精巣はテストステロンというホルモンを分泌し、オスとしての発育が進みます。SRY遺伝子がなければ、胚はメスの方向に発育し、卵巣が形成されます。これは、ヒトの性決定がY染色体上のSRY遺伝子に強く依存していることを意味します。

W染色体の謎

では、W染色体は何をしているのでしょうか? 性決定の機能として主役ではないと考えられていますが、一部の研究ではW染色体上にある遺伝子がメスの発生に影響を与える可能性があることが示唆されています。例えば、HINT1Wという遺伝子がメスの発育に何らかの役割を果たしていることが示唆されていますが、まだ完全には解明されていません。

まとめ

鳥類の性決定は、Z染色体とW染色体、DMRT1遺伝子などによって成り立っています。この仕組みは、ヒト (哺乳類)とは異なりますが、生命の進化における多様性を理解するための重要な鍵となるでしょう。

鳥類とヒトの性決定の違いは以下の通りです。

・染色体の違い

鳥類ではZW (メス)、ヒトではXY (オス)の性染色体を持つことで性が決定します。

・性決定遺伝子

鳥類ではZ染色体上のDMRT1遺伝子が性決定を担い、ヒトではY染色体上のSRY遺伝子が性決定の主要なスイッチの役割を持ちます。

引用

X Zhang, et al. Overview of Avian Sex Reversal. Int J Mol Sci. 2023 May 5;24(9):8284.

L Xu, et al. The Female-Specific W Chromosomes of Birds Have Conserved Gene Contents but Are Not Feminized. Genes (Basel). 2020 Sep 25;11(10):1126.

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